「うちの子、レゴや工作が大好きなんです」――そんな風に思ったことはありませんか?
発達障害のある子どもたちの中には、手を動かして何かを作る「ものづくり」が大好きな子がたくさんいます。集中力や独自のこだわりが、ものづくりに活かされていることも多いんですよね。
この記事では、発達障害の子がなぜものづくりが好きなのか、その理由や背景、親としてどのように関わり伸ばしていけばよいのかをわかりやすく解説します。
- ものづくりが得意な理由
- 親の関わり方のコツ
- おすすめの習い事や環境づくり
1. 発達障害の子どもに多い「ものづくり好き」って?
発達障害のある子どもたちの中には、物を組み立てたり、絵を描いたり、創作活動に熱中するタイプが多く見られます。
これは、視覚的・空間的な認知が得意な子や、手先を使う活動に安心感を覚える子が多いためともいわれています。
1-1 好きなことに集中できる特性

発達障害の特性として、「興味のあることに集中しやすい」という一面があります。レゴや工作、お絵描きなど、手を動かして形になる作業は、目に見える達成感があり、やりがいを感じやすいのです。
この集中力は、大人になっても役立つ強みになるかもしれません。
1-2 感覚のこだわりとものづくり



発達障害の子どもは、触覚や視覚、聴覚などに独特な感じ方を持っていることがあります。
たとえば、「ザラザラした素材は嫌いだけど、スベスベした素材は安心する」といった感覚的なこだわりがあるんです。
この感覚の敏感さやこだわりが、ものづくりととても相性がいいんですよね。材料を選んだり、配置に工夫したり、自分が「気持ちいい」と思う形や仕上がりを追求する姿勢につながっていきます。
親から見ると「なぜそんなに細かい部分にこだわるの?」と不思議に思うこともあるかもしれませんが、それは子どもが自分の感覚を大切にしている証拠。
そのこだわりこそが、ものづくりの才能を伸ばすカギになることもあります。
1-3 完成する喜びが自己肯定感に



発達障害の子どもにとって、言葉や集団行動で自己表現するのが難しい場面も多いですよね。
でも、「ものづくり」を通じて自分の世界を表現することができると、「自分にもできた!」という実感が湧いてきます。
作品が完成したときの達成感は、とても大きな自信になり、それが自己肯定感へとつながっていくんです。
大人の「すごいね!」「よくできたね!」という言葉ももちろん嬉しいですが、それ以上に「できたこと自体」が本人にとっての喜びになることが多いんですよ。
達成感を感じられる経験を積み重ねていくことで、自己肯定感もぐんと伸びていきます。
2. どんな“ものづくり”が好きになりやすいの?
「ものづくり」といっても、子どもによってハマる分野はさまざまですよね。
工作系、図形系、デジタル系……発達障害の子どもが特に興味を示しやすい“ものづくりジャンル”には、いくつか共通点があるんです。
ここでは、具体的にどんな活動が向いているのかを、タイプ別にご紹介していきますね。
2-1 ブロックやパズルなど構造系



発達障害の子どもが好きな「ものづくり」の代表といえば、レゴやブロック、立体パズルなどの構造系おもちゃです。
これらはルールが明確で、組み立てる工程が決まっていることも多いため、予測しやすく安心して取り組めるんですよね。
さらに、「自分で設計したい」「分解してまた作りたい」といったこだわりが生まれやすいので、論理的思考力や空間認識力を育てるきっかけにもなります。
集中して遊びながら、自然と学びにつながっているところが魅力的なんです。
2-2 絵を描いたり塗ったりのアート系



視覚優位なタイプの子どもにとって、絵や色に関する活動は心が落ち着くものなんです。
発達障害の子は、言葉よりもビジュアルで考える力が強い場合が多く、自分の考えや気持ちを絵や色で表現することでストレス発散やリラックスにつながることもあります。
特に、決まりが少なく自由にできるお絵かきや塗り絵は、「自分の世界」を大切にしたい子にピッタリです。
「じょうずに描けたね!」よりも、「その色の組み合わせ、おもしろいね」「こんな発想すごい!」と、感性を認めてあげる声かけが効果的ですよ。
アート系の活動は、自己表現と癒しの両方をかなえてくれるんです。
2-3 プログラミングや動画編集などデジタル系



最近では、プログラミングや動画編集といったデジタル分野に強い関心を示す子も多くなってきました。
タブレットやパソコンの操作に慣れていて、画面上の操作やルールに安心感を持つタイプの子にはとても向いている分野です。
とくに、Scratchのようなビジュアル型プログラミングは、「動きを作る」「音をつける」など自分の思った通りに結果が出るので、成功体験を得やすいんですよ。
さらに、動画編集やアニメ制作も、細かい作業やこだわりを活かせる場面が多く、自己表現と技能習得の両方につながります。
これからの時代に役立つスキルを、楽しみながら身につけられるのが魅力です。
3. ものづくりが得意な子への関わり方のコツ
「好きなら、伸ばしてあげたい!」と思うのが親心ですよね。
でも、うまくいかないときに声をかけすぎて逆効果…なんてこともあったりしませんか?
発達障害の子どもが「ものづくり」を楽しめるようにするには、ちょっとしたコツがあるんです。
ここでは、子どものやる気を引き出しながら、自然に力を伸ばす関わり方をお伝えしていきますね。
3-1 否定せず「認める」ことが第一歩



発達障害の子どもは、自分の感性やこだわりを大切にしている子が多いです。
だからこそ、せっかく作った作品に対して「こっちの方がきれいじゃない?」「それ変じゃない?」といった言葉をかけてしまうと、やる気をなくしてしまうことがあるんですよね。
大切なのは、作品そのものよりも「頑張って作った」というプロセスを認めてあげること。
たとえば、「この色の使い方、すてきだね」「この形、どうやって思いついたの?」というふうに、工夫や思いつきを肯定的に伝えてあげましょう。
まずは“否定しない・評価しない・認める”が基本の関わり方なんです。
3-2 子どもが安心して作れる環境を



「きれいに片づけてからにして」「汚さないでね」と言いたくなる場面、たくさんありますよね。
でも、発達障害の子にとっては、作業を中断されることや指示が多すぎることがストレスになることも。
できるだけ「自分のペースで、自由にできる」空間を用意してあげるのが理想です。
たとえば、工作スペースを決めたり、汚れてもいいシートを敷いたりすることで、ママも子どももお互いにストレスが減ります。
“安心して失敗できる場”を作ると、子どもの創造性がぐんと育ちますよ。
3-3 途中でやめても責めないスタンスで



発達障害の子どもは、興味の波が激しかったり、気分が乗らないと途中でやめてしまったりすることもあります。
でも、それって決して「飽きっぽい」「根気がない」わけじゃないんです。
むしろ、本人なりのリズムで物事に取り組んでいるだけなんですね。
大人としてはつい「最後までやってごらん」と言いたくなるけれど、無理にやらせると“ものづくり=つらいもの”というイメージになってしまう可能性も。
「続きは気が向いたときでいいよ」そんなスタンスが、長い目で見て才能を育てます。
4. 得意を伸ばす!家庭でできるサポート方法
「せっかく好きなら、もっと伸ばしてあげたい!」と思いますよね。
実は、特別な道具や広いスペースがなくても、家庭の中で“ものづくり好き”を応援することはできるんです。
ちょっとした工夫や声かけで、子どもの好奇心や創造性はどんどん育っていきますよ。
この章では、今日から取り入れられる身近なサポート方法をご紹介していきます。
4-1 身近なもので作れる環境を整える



高価なキットや専門的な道具がなくても大丈夫。発達障害の子どもにとっては、「自由に試せる」ことの方が大切なんです。
身近にある廃材や文房具、段ボール、毛糸、ペットボトルキャップなどは、創造の宝庫。子どもたちにとっては「材料に見えている」んですよね。
100均で少しずつ道具をそろえるのもおすすめ。安全に使えるハサミやテープ、のりなどを“自分専用”で用意してあげると、やる気もアップします。
環境を整えることで、「作りたい!」という気持ちを自然に引き出してあげられます。
4-2 子どものこだわりを尊重する



「なんでこんな色にしたの?」「もっとこうしたらいいのに」——そんなふうに感じたこと、ありませんか?
でも、発達障害の子どもたちは、理由があるからこそ“そうしている”ことが多いんです。
形のバランス、色の順番、パーツの位置……本人の中では明確なイメージや意味がある場合も多く、そこを否定せずに見守ってあげることが大切です。
ときには完成形がなくてもOK。「どうなるんだろう?」というプロセス自体を楽しめているなら、それが一番の学びになります。
子どもの「世界観」を大切にする姿勢が、安心と成長につながるんです。
4-3 作品を飾って“見える化”する



完成した作品を、そのまま片づけてしまうのはもったいないですよね。
玄関やリビングに飾る、小さな作品コーナーを作るなど、「自分の作品が飾られている」と実感できる空間を用意してみましょう。
お客さんに「すごいね!」と言ってもらったり、家族が見て「○○ちゃんの新作だね」と声をかけたりするだけでも、子どもにとって大きな自信になります。
また、「写真に撮って作品アルバムを作る」のもおすすめ。記録として残すことで、「また作りたい」というモチベーションにもつながりますよ。
作品を“見える形”で大切にすると、自己肯定感がぐんと育ちます。
5. 習い事で才能を伸ばす方法と選び方
家庭でのサポートに加えて、外の環境でも「ものづくりの力」を伸ばしてあげたいと思うママも多いですよね。
実際、発達障害の子どもに合った習い事を選ぶことで、才能を大きく開花させることもあるんです。
ここでは、どんな習い事が向いているのか、選ぶときのポイントや注意点をまとめてご紹介していきます。
5-1 好きが伸びる「ものづくり系習い事」って?



発達障害の子どもが取り組みやすい「ものづくり系」の習い事には、以下のようなものがあります。
- プログラミング教室Scratchなどのビジュアル言語を使った教室は、操作が直感的で分かりやすく、成功体験につながりやすいです。
- 図工・アート教室自由に表現できる環境があり、個性を尊重する指導が受けられる場所がおすすめです。
- ロボット・STEM系組み立てやプログラムの要素がある教材を使い、論理的思考力も育てることができます。
どれも、「自分で考えて手を動かす」プロセスが中心になっているのが特徴です。
楽しみながら学べる環境が、子どもの可能性を広げてくれます。
5-2 選ぶときは“理解のある教室”かが重要



習い事選びで一番大切なのは、子どもの特性に理解があるかどうかです。
発達障害のある子どもにとって、「その日の調子」「こだわり」「マイペースでやりたい」など、いろんな要素が関係します。
そのため、「急がせない」「失敗しても怒らない」「本人のやる気を尊重する」ような姿勢の先生がいる教室がおすすめです。
事前に体験教室へ行ってみたり、口コミやレビューで“安心して通える環境”かを確認するのがポイントです。
理解と柔軟性のある指導者が、子どもにとっての大きな支えになります。
5-3 習い事は「長く続ける」より「楽しく続ける」



「せっかく始めたんだから続けてほしい」と思ってしまうのが親心ですが、発達障害の子どもには“楽しめているかどうか”が何より大切です。
途中でやめたり、気分が乗らなかったりするのも自然なこと。大人の価値観で「続けることが正しい」と決めつけずに、子どもの気持ちを優先してあげましょう。
興味が変わったら、新しい習い事にチャレンジしてもOK。いろんな体験がその子の「得意」や「好き」を育てる土台になります。
“楽しく続ける”が、才能を開花させる一番の近道なんです。
6. “苦手”とのバランスの取り方と注意点
「ものづくりは好きだけど、他のことは苦手みたいで…」と悩むママも多いですよね。
発達障害の子どもには、得意なことと苦手なことの差が大きく出やすい傾向があります。
ここでは、“好き”を活かしながら、“苦手”とも上手につき合っていくためのヒントをお伝えしますね。
6-1 苦手を無理に克服させない



発達障害の子どもは、「得意・不得意」がはっきりしている子が多いです。
だからといって、苦手なことを無理に克服させようとすると、自信をなくしてしまうことも。
たとえば、細かい作業は得意でも、人とのやり取りが苦手だったり、反対に発想は豊かでも手先が不器用だったり…バランスの取り方に悩むこともありますよね。
そんなときは、「苦手だからダメ」ではなく、「どうサポートすれば少しラクになるか?」という視点で考えることが大切です。
“無理にやらせない”という選択も、立派な支援のひとつなんです。
6-2 得意から苦手をカバーする工夫



「ものづくり」の得意を、苦手を補う手段として使うこともできます。
たとえば、書くことが苦手な子でも、作品のタイトルやストーリーを「ものづくり」に絡めて考えることで、言葉への抵抗感が減ることもあるんです。
また、集団が苦手な子でも、ロボット教室のように“個人で取り組みつつ、時々協力する”スタイルなら無理なくチャレンジできます。
得意な場面で成功体験を積めば、それが自信になって「ちょっと苦手だけど、やってみようかな」という気持ちにつながることも。
得意なことを入口にして、少しずつ苦手を乗り越えていく姿勢が大切です。
6-3 比べず、本人のペースを大切に



「○○ちゃんはもうこんな作品作ってるのに…」「うちの子は進みが遅いかも」——そんなふうに感じてしまうこと、誰でもあると思います。
でも、発達障害の子どもにとっては、マイペースが何より大事。
時間がかかっても、途中でやめても、興味が移っても、それは「その子の成長のかたち」なんです。
まわりと比べるのではなく、「昨日の自分と比べてどうだったか」「前よりできるようになったことは何か」を一緒に喜んであげましょう。
その子なりのペースを尊重することが、いちばんの応援になります。
7. ものづくりが将来の仕事につながる可能性
「この“好き”が将来につながったらいいな…」と感じたことはありませんか?
実は、発達障害の子どもが得意とする“ものづくり”は、今の社会でしっかり活かせるスキルなんです。
この章では、「ものづくり」が将来どんな職業に結びつくのか、そしてそれをどうサポートしていけるかをご紹介していきますね。
7-1 得意を活かせる仕事はたくさんある



「ものづくり」が得意な子どもに向いている職業は、実はたくさんあります。
- デザイン系グラフィックデザイナー、イラストレーター、アニメーターなど、視覚的センスを活かせる職業。
- 技術・製造系3Dモデリング、製品開発、CADオペレーターなど、構造や組立に強い子が活躍できる分野。
- デジタル系プログラマー、動画編集者、ゲーム開発など、デジタルな「作る力」を活かせる仕事。
昔に比べて、在宅やフリーランスでも活躍できる仕事が増えているので、働き方も自由に選べる時代になってきました。
“ものづくりの好き”は、立派な「才能」になり得るんです。
7-2 小さな実績が将来の武器に



子どものころから作った作品や活動は、将来の進路選択や就職活動での“強み”になることがあります。
たとえば、自分で作った動画、オリジナルゲーム、イラスト作品、工作物などは、立派な「ポートフォリオ(作品集)」になるんです。
最近では、ポートフォリオを評価する学校や企業も増えているので、「作品を残す」という意識を持つことが、将来のチャンスにつながります。
家庭でできることとしては、「写真に撮って記録する」「作品集にまとめてみる」といった小さなステップから始めるのがおすすめですよ。
今の“好き”が、未来の“実績”になる可能性は十分にあります。
7-3 親ができる「将来サポート」とは?



将来のことを考えると、「このままで大丈夫かな…」と不安になることもあると思います。
でも、子どもにとって大事なのは、「今、自分が好きなことを安心して続けられる環境」があることなんです。
親ができるサポートは、進路を決めることではなく、“その子の得意”を信じて見守ること。
「こういう仕事もあるよ」「こんな人が活躍してるんだって」と、視野を広げるヒントを少しずつ伝えていくと、自然と興味が芽生えてくることもあります。
「今を認めてくれる親の存在」こそが、子どもの自信と未来につながるんです。
8. まとめ|「ものづくり好き」は才能の芽かも?
発達障害のある子どもたちにとって、「ものづくり」は単なる遊びではなく、自己表現の手段であり、安心できる時間でもあります。
お母さんがその“好き”に気づいて、そっと応援してあげることで、子どもは自信を持ち、得意を伸ばしていけるんですよね。
家庭でできるサポートや習い事の選び方、将来へのつながり方まで、無理なくその子らしさを大切にしながら見守っていくことが、いちばんの応援になります。
「好き」が続けられる環境をつくってあげることこそが、才能のタネを大きく育てる第一歩です。
ぜひ今日から、身近な“ものづくり”を通して、お子さんの「得意」を見つけてあげてくださいね。
- 発達障害の子は「ものづくり好き」が強みになりやすい
- 親の見守りと環境づくりが成長のカギ
- 好きが将来の職業や自信につながる可能性も
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